多田消化器内視鏡クリニック

2020.07.24

疾患紹介編:#7 萎縮性胃炎New!
今回は、胃カメラが終わった後に渡される結果報告書の「胃」の段に必ず記載される「萎縮」≒「萎縮性胃炎」について解説します。

私たち内視鏡医は、胃カメラをした際に、食道や十二指腸については何もなければ「異常なし」としか記載しませんが、胃については必ず「萎縮」が有るか無いかを記載します。
その理由は、「萎縮」の有無によって胃がん発生リスクに差があるからです。
「萎縮」があれば、その程度を所見欄に記入し、病名を「萎縮性胃炎」と記載します。

「萎縮」とは胃の粘膜に何らかの理由で慢性的な炎症が起こる事により、粘膜が痛み薄くなっていく変化の事を言います。
胃カメラでは、健康な胃粘膜はピンク色でツルっとして観察されますが、萎縮が進むと肌色から白っぽい色調となり、表面も凹凸が目立つようになります。場所によっては、薄くなった粘膜を透して、下を走っている血管が観察されるようにもなります(下図1)。

炎症が起こる原因としては、ストレス・飲酒・薬物・感染症・自己免疫性胃炎など様々ありますが、主な原因はピロリ菌感染です。

ピロリ菌が感染すると、体はそれを異物として認識し、排除しようと攻撃を行います。
胃の表面を泳いでいるピロリ菌に向かって爆弾を次々と投下するのですが、ピロリ菌もやられまいと逃げ回るため、戦場となる胃がドンドン荒れていくのです。

萎縮は、胃の出口から入口に向かって徐々に広がっていきます。荒れている度合いは、木村・竹本分類によって6段階に分類されており(下図2)、その度合いによって胃がんの発生率に差がある事が報告されています。萎縮が酷くなるほど、胃がんが発生しやすくなるのです。
胃粘膜の萎縮度別に胃がん発見数を見てみると、胃炎の軽いC0/C1を基準に考えると、C2 /C3は13.4倍、O1/O2は27.2倍、O3では60.6倍にもなるといった報告があります。

ピロリ菌除菌を行うと、萎縮の広がりにはストップをかけられ、つまりは胃がん発生率を低下させる事ができますが、それまでの間に傷んでしまった部位は元には戻りません。
ですので、除菌成功時点でみられる萎縮の度合いによって、その後も定期的な検診フォローが推奨されます。


当院では、C0/C1の方は3年ごと、C2 /C3の方は2年ごと、O1以上の萎縮がある方は1年ごとを目安に、定期検診を受けることを推奨しています(下図3)。


胃がんは日本の国民病ともいわれる頻度の高い疾患ですが、もし万が一、胃がんが発生しても、早期のうちに発見・治療してしまえば完治できます。
ご自身の胃カメラ結果報告書の「胃」の段に記載された萎縮の有無・程度をしっかり確認いただき、自分に合った間隔での定期検診を受けるように心がけて下さい。

当院では麻酔で眠っている間に胃カメラが終わっているように検査をする事が出来ますし、堺市の胃がん検診(胃カメラ)は、いまなら無料で受ける事ができます(50歳以上、2年に1回のみ、麻酔使用不可)。
胃がん検診から遠のいている人は、ぜひ一度、相談にいらしてください。